●文化庁の宗教法人収支報告書のひな形事例です。
 ご覧のように決して、細かい科目分類ではありません。最低限必要な科目ととらえていますが、
 会計の目的の重点が、監督官庁への報告であるならば、条件を満たしていると思います。
 ただ、宗教法人経営管理から見る場合は、管理目的により、勘定科目も考慮すべきと考えます。

●ただ、多ければいいと言うわけではないことを理解することが、わかりやすい会計にするポイントなのです。
●当然、収益事業が、ある場合は、税務申告目的から、科目の設定をしなければなりませんし、
収支計算書だけでなく、損益計算書が必要になります。

収支予算書・収支計算書の収支科目一覧(一般会計)

   〔収入の部〕

科         目

説       明

1 宗教活動収入

 

主として宗教法人本来の活動による収入

(1) 宗教活動収入

 宗教活動に対して、信者の自由な意思によってなされる収入、社入金・布施収入・献金収入・御供収入など

(2) 会費収入

 宗教法人の運営のため信者から徴収する会費等の収入、維持会費・護持会費・月定献金など

(3) 寄附金収入

 宗教法人の運営のために寄附された(1)(2)以外の収入

(4) 補助金収入

 宗教法人のための包括宗教団体等からの補助金、助成金(注1)

(5) ○○○○○

 

2 資産管理収入

 

 資産の運用及び売却等に伴う収入

(1) 資産運用収入

 預金、有価証券から生じる利子・配当金、不動産の一時貸付料等の収入(注2)

(2) ○○売却収入

 

3 雑収入

 

 1、2以外の収入

雑収入

 

4 繰入金収入

 

 特別会計からの繰入金

(1) ○○特別会計繰入金収入

 

(2) ○○○○○

 

5 貸付金回収収入

 

 

貸付金回収収入

 金銭の貸付の返済による収入(注2)

6 借入金収入

 

 宗教法人の外部からの借入金による収入(注3)

借入金収入

 

7 特別預金取崩収入

 

一定の目的で積み立てられた預金を取崩して使用する場合

(1) 基本財産預金取崩収入

基本財産として設定された預金を取崩して使用する場合

(2) ○○積立預金取崩収入

 

(3) ○○○○○

 

8 預り金収入

 

給与の源泉所得税、住民税、社会保険料等の預り金の受取額

預り金収入

 

 

〔支出の部〕

科         目

説       明

 宗教活動収入

 

宗教法人本来の活動に要する経費

(1) 宗教活動費

 宗教活動に直接要する経費

@ 儀式、行事費

 宗教上の儀式、行事を行うための什器備品費、消耗品費など一切の経費、祭典費、儀式費、法要費、礼典費、祭務費など

A 教化、布教費

 教義を広め、信者を教化育成するための旅費、交通費、通信費、図書購入費、印刷費、宗教者の研修費など一切の経費

B 信者接待費

 @、A以外の信者接待費(茶菓、飲食費等)、信者との交際費(慶弔費)

C 教師養成費

 教師を養成するための宗教的育成の経費(注4)

D 寄附金

 災害復旧等寄附金

E 雑費

 @〜D以外の宗教活動に要する経費

(2) 管理費(維持費)

 宗教法人の管理、運営、維持に必要な経費

@ 会議費

 責任役員会その他の機関の会議に要する経費

A 事務費

 事務用消耗品、什器備品、通信運搬費、水道光熱費等の事務諸経費

B 旅費交通費

 「宗教活動費」以外の法人事務のために要する旅費交通費

C 負担金

 宗教法人が包括宗教団体へ支払う諸負担金(個人分は除く)(注5)

D 諸会費

 C以外の加入諸団体への会費、他の宗教団体との交際費

E 修繕費

 建物、什器備品、車両等の修繕費用

F 火災保険料

 宗教法人所有建物の火災保険料

G 公租公課

 宗教法人が負担すべき諸税(固定資産税・自動車税等)

H 雑費

 

2 人件費

 

 

(1)給料手当

 

(2)福利厚生費

 社会保険料の事業主負担分及び職員に対する慶弔費等

(3)

 

3 繰入金支出

 

 特別会計の資金補てんのための支出

(1) 特別会計繰入金支出

 

(2) ○○○○

 

4 資産取得支出

 

 資産の取得に要する支出

(1) ○○財産○○取得支出

 基本財産(普通財産)である土地、建物、有価証券取得に要する支出(注6)

(2) ○○財産○○○○○

 

5 貸付金支出

 

(注2)

貸付金支出

 

6 借入金返済支出

 

 

(1)借入金返済支出

 

(2)支払利息支出

 

7 特別預金支出

 

 

(1)基本財産預金繰入額

 

(2) 支出

 一定目的のための積立預金への支出

8 預り金支出

 

 給与の源泉所得税、住民税、社会保険料等の納付額

 

預り金支出

 

9 予備費

 

 他の科目の予算不足に充当するための予備費

10 ○○○○○

 

 

 

〔記入上の注意〕

 注1 国や地方公共団体からの補助金は、特別会計で処理し、ここの収入とはしません。

 注2 貸付金回収収入、貸付金支出及び不動産の一時貸付料は、法人税法上の収益事業に該当しないものだけ掲げます。

 注3 その年度内の収入で返済する一時借入金は、収入、支出とせず、現金出納簿又は預金出納簿及び財産台帳の負債の部借入金で処理します。

 注4 住職等の子弟の学資金については、現物給与とされる場合があることに注意してください。

 注5 宗教法人が加入している共済の負担金も含みます。

 注6 「宗教活動支出」の科目中の什器備品費は、ここでまとめて「什器備品購入費」としても構いません。